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日本の高齢社会の現状〜老老介護も増加〜

   


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介護保険制度について深く学んでゆくために、日本の高齢社会の現状を知っておきましょう。

日本の高齢社会の現状〜老老介護も増加〜

 

戦前まで日本に介護は存在しなかった

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「高齢者介護」という現象自体は、決して古来からあるものではない。

江戸時代の状況を伝えるいくつかの「史料」で上層の庶民や武士階級にあっては、老親の病状悪化に対処する親族、家族ならびに外部から招かれた「介抱人」による看病の様子を見て取ることができる。しかし、そこでおこなわれているのはあくまでも病状の悪化に伴う短期間の看護である。ましてや、家族総出の生産活動によってかろうじて生活を維持していた大勢の人々にとっては「医療」は日常的なものではなく、生産に関与できなくなった老親を「介護」するなどという行為もほとんどおこなわれていなかった。「個人の尊厳」よりも、共同体の利益を優先するしかなかった。

現在のように長期にわたる「高齢者介護」は、決して古くからのものではなく、第2次世界大戦後の医療技術の進歩などによって創出されたものであって、きわめて最近の現象である。団塊の世代は、親を看取る最後の世代、子どもに看取られない最初の世代?とも言われている。

 まとめ … 高齢社会、特に長期的に介護を受ける高齢者は医療の発達が作り出したものと言える。

 

高齢社会の現状〜基本的な数値を押さえておこう〜

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わが国の総人口は、2014(平成26)年8月1日現在(概算値)1億2713万人である。総務省によると、2014年11月15日現在、65歳以上の高齢者人口が3296万人(総人口の25.9%)、75歳以上が1590万人(同12.5%)となり、いずれも過去最高で、世界のどの国でもこれまで経験したことのない高齢社会を迎えている。「団塊の世代」の1949年生まれが65歳になったのが一因で、4人に1人が65歳以上の高齢者、8人に1人が75歳以上となる。

男女別では、男性の高齢者が1421万人(男性人口の23.0%)、女性が1875万人(女性人口の28.7%)。ほかの年齢別では、70歳以上が2383万人(総人口の18.7%)、80歳以上が964万人(同7.6%)。5年ごとに行われる住宅・土地統計調査(2013年)によると、高齢者のいる世帯は2086万世帯で、初めて2千万世帯を超えた。うち高齢者の単身世帯は552万世帯に達した。

 まとめ … 4人に1人が65歳以上の高齢者となり、単身世帯は552万世帯に達している。

 

後期高齢者(75歳〜)の3割が要介護者に〜老老介護の問題も〜

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高齢者人口が増加するのに伴い、「要介護者」は急激に増加している。65歳以上の要介護認定者数をみると、平成12(2000)年2に247万1千人であったが、平成17(2005)年には417万5千人と69%増加している。

前期高齢者(65歳~74歳)と後期高齢者(75歳以上)とに分けてみると、要支援・要介護の認定を受けたものの割合が、「前期」高齢者では4.8%であるが、「後期」高齢者では29.6%と大きく増加している。

また、世帯構造の変化によって、65歳以上の要介護者等と同居している主な介護者のうち、60歳以上の介護者である世帯が55.9%を占めるなど、介護の半数が「老老介護」となっている。特に、家族と同居している場合の介護者の内訳も、「男性家族」が介護している割合が16.6%であるのに対し、「女性家族」が介護している割合は49.5%と、依然として「女性が大きな役割」を担っていることが示されている。

認知症の人は、厚労省の予測では、2025年には約700万人になるという。

 まとめ … 75歳以上の後期高齢者が約3割に。

 

(参考)要介護者と老年症候群

要介護者の半数は何らかの疾患を有し、加齢とともに現れてくる身体的および精神的諸症状・疾患、多くの病因が影響しあって高齢者という一個人に、病的症状などを表す「老年症候群」(痴呆、譫妄、うつ、脱水、発熱、低体温、むくみ、頭痛、意識障害、呼吸困難、寝たきり、廃用症候群に付随する失禁、褥瘡、誤嚥、便秘、転倒骨折、腰背痛など)が増える。

(参考)本の紹介

高齢者がどのような生活感覚を持っているかをビジネスの立場からアプローチした書籍です。ありきたりの切り口に飽きてしまったときに。

 

出典:楽天ブックス(クリックできます)

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